【永遠の都ローマ展】
教皇ウルバヌス8世の肖像
教皇が認めたコルトーナ

文:小林明子(東京都美術館学芸員)

西洋美術

 バルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世は、学問や芸術に造詣が深く、とりわけローマ・バロックを代表する画家ピエトロ・ダ・コルトーナのパトロンとして名をはせた。教皇一族の知遇を得た画家は、やがてバルベリーニ宮を飾る、ローマの誰もが知る絢爛(けんらん)豪華な天井画を手がけることになる。

【永遠の都ローマ展】教皇ウルバヌス8世の肖像
ピエトロ・ダ・コルトーナ「教皇ウルバヌス8世の肖像」1624~27年頃、油彩、カンヴァス、カピトリーノ美術館絵画館蔵ⒸRoma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali /Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

 聖職者の衣服に身を包んだ教皇は右手で祝福の身ぶりをし、穏やかな視線を鑑賞者へと向けている。椅子に座る人物を画面に対して斜めに配し、半身または全身で表す構図は、ルネサンス以来、典型となった教皇の肖像形式である。光沢のある布地の質感やレースの細部描写に、画家の並外れた技量がみてとれる。

INFORMATION

永遠の都ローマ展

<会期>12月10日(日)まで
<会場>東京都美術館(台東区上野公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)
展覧会公式サイト(https://roma2023-24.jp/

2023年9月27日 毎日新聞・東京版 掲載

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