バルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世は、学問や芸術に造詣が深く、とりわけローマ・バロックを代表する画家ピエトロ・ダ・コルトーナのパトロンとして名をはせた。教皇一族の知遇を得た画家は、やがてバルベリーニ宮を飾る、ローマの誰もが知る絢爛(けんらん)豪華な天井画を手がけることになる。
聖職者の衣服に身を包んだ教皇は右手で祝福の身ぶりをし、穏やかな視線を鑑賞者へと向けている。椅子に座る人物を画面に対して斜めに配し、半身または全身で表す構図は、ルネサンス以来、典型となった教皇の肖像形式である。光沢のある布地の質感やレースの細部描写に、画家の並外れた技量がみてとれる。
INFORMATION
永遠の都ローマ展
<会期>12月10日(日)まで
<会場>東京都美術館(台東区上野公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)
展覧会公式サイト(https://roma2023-24.jp/)
2023年9月27日 毎日新聞・東京版 掲載