エティエンヌ・デュペラック「カンピドリオ広場の眺め」1569年、エッチング、ローマ美術館蔵ⒸRoma, Sovrintendenza Capitolina ai Ben Culturali / Archivio Fotografico del Museo di Roma
エティエンヌ・デュペラック「カンピドリオ広場の眺め」1569年、エッチング、ローマ美術館蔵ⒸRoma, Sovrintendenza Capitolina ai Ben Culturali / Archivio Fotografico del Museo di Roma

【永遠の都ローマ展】
カンピドリオ広場の眺め
考え抜かれた対称性

文:小林明子(東京都美術館学芸員)

西洋美術

 ローマの中心に位置するカンピドリオ広場のアイコニックな光景は、ルネサンスの芸術家ミケランジェロの設計により生み出された。その巧みな構想は、デュペラックの版画に明確に示されている。

 ミケランジェロは既存の建物の配置を不動のまま、建物のファサード(正面)を刷新し、広場のかたちを台形に決定した。加えて左右対称性を強調すべく、当初はなかった左手側の建物を新たに建設する。さらに広場のあるカピトリーノの丘に上るための大階段を設置したことにより、空間全体がヴァティカンの方角へとはっきりと方向づけられた。

 永遠の都ローマを象徴するこの広場は、こうして新たな時代にふさわしい場所へと生まれ変わった。

INFORMATION

永遠の都ローマ展

<会期>12月10日(日)まで
<会場>東京都美術館(台東区上野公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)
展覧会公式サイト(https://roma2023-24.jp/

2023年9月25日 毎日新聞・東京版 掲載

シェアする