「カピトリーノのヴィーナス」2世紀、大理石、カピトリーノ美術館蔵
ⒸRoma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

【永遠の都ローマ展】
カピトリーノのヴィーナス 曲線と質感、光る技巧

文:小林明子(東京都美術館学芸員)

西洋美術

 古代彫刻の傑作として名高いこのヴィーナス像は、ギリシャの彫刻家プラクシテレスが制作した有名な彫刻に着想を得たもので、2世紀のローマで制作された。上半身をやや前方に傾け、一糸まとわぬ裸体を隠そうとする自然な一瞬が捉えられているようだ。一方で恥じらいのしぐさは、彼女が裸体であることをいっそう意識させる。身体のなめらかな曲線と、肌のみずみずしく、ふっくらとした質感の表現に卓越した技巧が光る。

 本作がカピトリーノ美術館の館外に持ち出されるのは、同館に収蔵された1752年以来、今回が3回目のことである。同館の顔ともいえるヴィーナス像の来日は、本展ならではの極めて貴重な機会だろう。

INFORMATION

永遠の都ローマ展

<会期>12月10日(日)まで
<会場>東京都美術館(台東区上野公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)
展覧会公式サイト(https://roma2023-24.jp/

2023年9月20日 毎日新聞・東京版 掲載

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