ローマ皇帝コンスタンティヌスは、政治、経済、官僚組織を変革しただけでなく、ローマ帝国におけるキリスト教信仰を公認したことで知られる。カピトリーノ美術館には、この皇帝の肖像とされる巨大彫刻の断片が残されている。目鼻立ちのはっきりとした皇帝の表情は力強く、遠く高みに向かう視線がたたえる深い精神性は、キリスト教の広まりとともに展開する新たな美術の幕開けを告げているようだ。

「コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)」ローマ文明博物館蔵ⒸRoma, Sovrintendenza Capitolina  ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo della Civilità Romana
「コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)」ローマ文明博物館蔵ⒸRoma,Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo della Civiltà Romana

 約1.8メートルある頭部の大きさから、この巨像は当初、実際の人間の5倍以上もある彫刻だったことが推測される。本展では、頭部や手部の石こうによる複製を通して、その迫力を間近で体感することができるだろう。

 「永遠の都ローマ展」(毎日新聞社など主催)が開幕した。展示される主な作品を紹介する。

INFORMATION

<会期>12月10日(日)まで
<会場>東京都美術館(台東区上野公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)
展覧会公式サイト(https://roma2023-24.jp/

2023年9月18日 毎日新聞・東京版 掲載

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