思わず見上げたくなるメインホールの天井

 メインホール(大講堂)の天井は、星をモチーフにした。1階から見上げていると「白い星空」に吸い込まれそうだ。薬草などをモチーフにしたステンドグラスから優しい光が入り込む。

メインホールのステンドグラス。完成から約60年後にあしらわれた

 星薬科大学本館(東京都品川区)は、チェコ出身のアントニン・レーモンドが手掛け、1924(大正13)年に完成した。当時の最先端技術だった鉄筋コンクリート造りで地上3階建て。

 上下階の移動は階段ではなく、緩やかなスロープが担っている。大勢の人たちがスムーズに移動できるような工夫だ。正面玄関などには、フランク・ロイド・ライトや、チェコ・キュービズムの影響を受けた幾何学模様のレリーフが施されている。

3階へと続くスロープ

 本館前には大学を創立した星一の胸像が建ち、来館者を出迎える。長男は、ショートショートの名手として知られる作家の星新一(故人)。本館内を散策していると、新一が描いた世界観をも感じさせる空間にいるように思えた。

 春と秋に行われる予定の大学の公開講座で見学が可能。

2024年1月7日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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