左右対称で建てられ、白い外壁が印象的な旧旭川偕行社

 白い外壁と室内照明が、薄暮の中で美しい陰影をつくっていた。北海道旭川市の旧旭川偕行社(かいこうしゃ)は近年、人気漫画「ゴールデンカムイ」にも登場して訪れる人が増えている。

 建物は1902(明治35)年に旧陸軍第7師団が旭川に設営された時に将校らの社交場として建設された。設計は陸軍臨時建築部。洋風の木造2階建てで1、2階ともに前面がベランダで、柱が配置されている。正面中央には半円形の玄関ポーチ、屋根にはレンガ積みの煙突を2本立てるなど左右対称の外観となっている。

玄関から真正面に位置する階段

 戦前は師団関係者の会議などに利用され、戦後は進駐軍が将校クラブとして使用。49(昭和24)年に国から旭川市に移管された。

 その後、学校や庁舎の仮施設として使われたが用途なく放置された時期もあった。保存の機運が高まる中で、修復工事を68(昭和43)年に行い、市立旭川郷土博物館として再開。89(平成元)年に国の重要文化財の指定を受けた。現在は、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館として使用されている。

建物下部にある通気口

2023年12月17日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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