池の中に建つ武豊町立図書館

 青空とのコントラストがまぶしい白亜の列柱が池の水面にその姿を映し出す。池の中に建つ武豊(たけとよ)町立図書館(愛知県)は、付近一帯の雨水などを一時的にためて洪水を防ぐ洪水調整池「アサリ池」の機能を維持するため池を埋め立てずに建設し、1986(昭和61)年に開館した。

 鉄筋コンクリート造りの2階建てで、円柱が連続する姿はギリシャの神殿をイメージさせる。池に面する外周には「おはなし会」などのイベント時に年に数回開放するテラスがあり、その床にはタイルで波紋が表現されている。

タイルで波紋を表現するテラスの床

 玄関を入ると、高さ約8㍍の吹き抜け空間の受付が広がり、ゆったりとした時が流れる。受付の後方一面には陶壁があり、海運と陸運で栄えてきた同町をイメージする船と汽車が描かれている。また、児童図書室の壁や柱には色ごとに凹凸を付けた虹などの絵が描かれ、明るい室内を演出している。

 館内では本に関する展示やイベント、コンサートなどを開催し、町民の憩いの場として活用されている。

武豊町をイメージして描かれた受付の巨大な陶壁

2023年11月12日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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