六甲山麓(さんろく)から流れる芦屋川の西岸に、東洋風で端正な外観を見せる芦屋仏教会館(兵庫県芦屋市)が建つ。正面の窓にあるハスの花をモチーフにしたステンドグラスが壁を彩り、1階の大ホールの中央に配されたお堂には聖徳太子の御尊像が鎮座している。
地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造り。設計は奈良ホテルや大阪市中央公会堂など多くの名建築を手掛けた片岡安(やすし)で、1927(昭和2)年に完成した。
当時の免震工法を取り入れている。戦火を免れ、阪神大震災にも耐え、建設当時のままの姿を今に伝える。
終戦直後から約6カ月間、甲南高等女学校の仮校舎となった。49年から54年までは芦屋市立図書館として市民に親しまれた。会館は特定の宗教団体には属しておらず、仏教講座や講演会、コンサートといった催しに幅広く利用されている。
2018年に国の登録有形文化財となったほか、同市内で初めて景観重要建造物にも指定された。
2023年5月21日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載