鋼材が連なる富士川水管橋。両脇下の二つのパイプに水が通る

 富士川を東海道新幹線が渡る際、車窓から雄大な富士山が一望できる。その裾野を彩るような10連の白いアーチが富士川水管橋(静岡県富士市)だ。工業用水を供給する厚原浄水場に、対岸の富士川浄水場から1次処理した水を送る工業用水道の一部で、1970(昭和45)年に完成した。

富士山を背景に描く美しいアーチは東海道新幹線からも眺められる

 建設前、1日に必要な市内の工業用水の6割に当たる約120万㌧が地下水だった。過剰なくみ上げで地下水位が低下し、海水が混入した。このため県は民間発電所の放流水を利用する計画を立て、両岸の浄水場とそれを結ぶ富士川水管橋など約94㌔に及ぶ水道管を建設した。

直径2.2㍍の2本の水道管が橋桁を兼ねる

 直径2.2㍍の2本の水道管が橋桁を兼ね、桁にかかる力の一部を上部のアーチで支えるランガー橋だ。総延長は1040㍍で、1日に約68万㌧の水を通すことができる。

橋桁を補助する上部のアーチ

 県は富士川浄水場や水管橋の見学ツアーを実施していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で現在は中断している。今後は感染状況の推移を見極めて、再開時期を検討するという。

2023年2月26日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

シェアする