個性ある建物外観。中央下が本館入り口、左奥がホール入り口

 建物の先端を2本の柱で支え、突き出した独創的な構造に目を奪われた。眺めていると、軍艦のブリッジ(指揮所)、またはハーモニカ、両手を添えた双眼鏡のようにも見え、想像力をかき立てられる。朝霞市民会館(埼玉県)は、本館(会議棟・ホール棟)が1976(昭和51)年に完成、98(平成10)年には新館が増築された。本館は地上5階、地下1階。市民会館の愛称は「ゆめぱれす」。

市民に愛され、さまざまなイベントが行われるホール

 突き出した部分は本館4階の宴会室で、3階は会議室になっている。いずれも大きな窓があり、開放感を演出している。

ホールへいざなうホワイエ

 ホールは専用の別の入り口を設けた。中に入ると、ゆったりとしたホワイエが広がる。大ホールは最大922人の収容が可能。また、市民が使う施設なので、客席中央を仕切り、中ホールとしても使用できるようにした。緞帳(どんちょう)は、二本松の向こうに富士山を望む昔の会館周辺の風景を表現。どこか郷愁を感じさせる。学校や住民のサークル活動などの発表の場として使われ、地域に根ざした施設として愛されている。

かつての市民会館周辺の風景を表現した緞帳。二本松と稲穂の向こうに富士山が見える

2023年2月12日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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