60'sホールを横切る梁の上は通路になっている

 外に向かって突き出した大きな中空梁(ばり)が目を引く。建物全体がまるで巨大な遊具のようだ。

 ユニークな外観のアートプラザ(大分市)は、同市出身の世界的な建築家、磯崎新さん(2022年12月、91歳で死去)が、1966(昭和41)年に建てた大分県立大分図書館が前身だ。

飛び出した中空梁が特徴的なアートプラザ

 梁を柱ではなく、壁に貫入させて支える構造が特徴で、内部に巨大な空間を生み出している。館内に入ると「60’sホール」と呼ばれる広大な空間が出迎える。ホールを貫く梁の上面は通路になっており、両側にある緑色に塗られた廊下をつないでいる。

緑色に塗られた廊下。異空間に迷い込んだようだ

 91年ごろから図書館建て替えに伴った取り壊し計画が浮上すると、地元の大分県建築士会や市民らが保存に向けて立ち上がった。磯崎建築を学ぶツアーなどを実施すると保存の機運が盛り上がり、解体の危機を乗り越えた。

 中空梁や独創的な内部空間などが評価され、22年に国の登録有形文化財になった。

入り口を入ると目の前に広がる60’sホール。上から光が差し込む

2023年1月22日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

シェアする