緩やかなアーチのボールト天井が美しい大ホール

 クリーム色のタイルに包まれた外観の名古屋陶磁器会館(名古屋市東区)は、1932(昭和7)年に名古屋陶磁器貿易商工同業組合事務所として建てられた。鉄筋コンクリート造りの2階(一部3階)建て。戦後に幾度か改修され、3階の屋上部分は広く増設されている。

柔らかなクリーム色のスクラッチタイルに覆われた名古屋陶磁器会館

 外装は表面に平行の溝を付けたスクラッチタイル張りで、角には「役物(やくもの)」と呼ばれる湾曲したタイルが張られ、建物を一つの塊のように見せている。北側の玄関横にはアーチ状の窓が設けられ、柔らかな表情を演出する。

建物西側の壁面には大小さまざまな縦長の窓が並ぶ

 ステンドグラスや大理石で彩られた玄関ホールや1階の廊下は建築当時の内装が多く残り、それぞれの床には「ダイヤ」や「モンキー」と呼ばれる珍しいタイルが敷かれている。2階には緩やかなアーチのボールト天井で開放的な大ホールがある。床は木製のヘリンボーン模様で、歩くとギシギシと歴史を感じさせる音を出した。

廊下の床に敷かれたサルの顔のような「モンキー」と呼ばれるタイル

 同会館は1年に1回、見学会を開催して普段は見られない部屋も一般公開している。

2022年12月4日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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