レンガに囲まれた荘厳な空間にタペストリーが掲げられた記念ホール

 世界有数の規模を誇る大都市近郊の平地林・野幌森林公園の中に北海道博物館(札幌市厚別区)は建つ。

 周囲の森と調和するように設計したのは建築音響学の先駆者でもある佐藤武夫氏。1970(昭和45)年12月に北海道開拓記念館として建てられた。鉄筋コンクリート造りでありながら、レンガ造りのように見せる建物は「森のちゃれんが」という愛称で市民に親しまれている。レンガは同じ地盤から作られた約75万個が内外の壁面に使われている。

建物内のさまざまな場所にある凝った鉄製の装飾「アイアングリル」
森と調和するように建つ北海道博物館。右奥は百年記念塔

 建物内でひときわ印象的な空間が記念ホール。高さ10㍍の空間のレンガ壁には縦8㍍、横4・5㍍のタペストリーが掲げられている。その反対側の壁には、北海道の産業や生活に重要な役割を果たした馬の功績をたたえるため、てい鉄約1600個が飾られている。

 同館の研究職員である鈴木明世さん(28)は「佐藤武夫の集大成といえる建築。細部の装飾までじっくりと堪能してほしい」。

木レンガに打ち込まれた約1600個のてい鉄。冬至近くにはこの壁に西日が当たる

2022年11月20日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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