長崎市の旧外国人居留地へと続く「オランダ坂」を上っていくと、赤いとんがり屋根が特徴的な活水(かっすい)女子大(同市東山手町)が見えてくる。1879(明治12)年、エリザベス・ラッセル宣教師がこの地に女学校を創立した。
日本で数多くの西洋建築を手掛けたボーリズ建築事務所出身のボーゲルが1926(大正15)年に本館を建てた。その際、本館の端に八角形の塔屋を造った。33(昭和8)年の同建築事務所による第2期工事で、塔を中心に両手を広げたような優しく美しい現本館が完成した。
玄関ホールは八角形で、ガラス扉には校章をデザインした色ガラスがはめられ、日差しを受けて床を彩る。塔屋最上階の祈とう室の窓からは、大浦天主堂や伝統的建造物を集めた「グラバー園」が見渡せる。
大きさが違う二つのチャペルがあり、小チャペル内の湾曲した長椅子と、講壇は製作から120年を超える。講壇には彫刻が施されており、1892(明治25)年の卒業生が卒業記念に注文したとの記録が残る。
2022年10月23日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載