出窓が他にはない景色を作り上げる外観

 1980年代後半に流行した小型ゲーム機か、ブラウン管テレビにも見える。個性的な出窓が並ぶのは研修に特化したホテル「L stay&grow晴海」(東京都中央区)だ。連続する様式美は、シンプルだが唯一無二の光景に思える。

1階の玄関脇にあるキーボックスを収めたテーブルを上から見る

 地上10階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで、1975(昭和50)年に「デン晴海」として完成した。その後、「晴海グランドホテル」「ホテルフクラシア晴海」と名を変え、今年6月に現ホテルとしてオープンした。

出窓の下などにある室外機の通気口を見上げる

 館内には、木目模様のついた打ち放しのコンクリートが今も残る。1階には、かつてフロントで使っていた客室キーを保管したキーボックスを収めたテーブルがある。外観を見回すと、出窓の下部には円や正方形の形をした空調機の室外機の通気口があり、建物の個性を演出しているかのようだ。出窓部分に室外機が埋め込まれている構造なので、客室内では目立たない。

10階客室からの眺め。テーブルの下に室外機が埋め込まれている

 ホテル周辺にはタワーマンションが建ち並ぶ。景色は変遷していくが、変わらないものもある。

2022年10月16日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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