鮮やかな赤色の柱が立ち並ぶ今帰仁村中央公民館

 200本以上の赤い柱が印象的な今帰仁村(なきじんそん)中央公民館(沖縄県)は、地元で愛される憩いの場だ。ユニークな平屋建ては、建築家集団の象設計集団と、アトリエ・モビルの共同設計で、村民と協力しながら1975(昭和50)年に建てられた。

公民館の一角にある舞台のようなオープンスペース

 コの字形のひとつながりの屋根の下には、部屋を分散配置。軒を支える外周の柱の間には壁がなく、廊下やオープンスペースに風が吹き抜ける。建物の一角には舞台のようなものがあり、発想次第でさまざまな使い方ができる。廊下を歩くと、そこかしこでコンクリートの床に埋められた貝殻のアート作品が目を引く。子どもから高齢者まで多くの村民が参加し思い思いに作ったもので、村民自ら手掛けたことでより地元に根差した公民館になった。

床には、地元住民がデザインした貝殻のアートが埋め込まれている

 完成当初は植物が屋根を覆い、日差しを和らげるとともに赤の柱との対比で建物を彩っていた。台風などの影響で維持が難しく緑の屋根を今は見ることができないが、色あせつつあった柱の多くは近年再塗装され、かつての姿をよみがえらせている。

広い芝生を囲むように建つ建物

2022年6月26日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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