直線と曲線が融合する岐阜市民会館

 市役所や裁判所などが集まる岐阜市の官公庁街で、ひときわ目を引くデザインの建物だ。岐阜市民会館は、さまざまな色のタイルが張られた円すい台形の大ホールを、立方体の集合体が上空から見て「L」の字に囲んでいる意匠が特徴的だ。地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造り。建築家の坂倉準三氏が手掛け、1967(昭和42)年に完成した。

大ホールの形状に合わせて配置される楽屋の化粧台

 1階のピロティ構造で2階部分が浮遊しているように見える東棟と北棟は、直線的な中にも緩やかな起伏や曲線が盛り込まれている。大ホールのロビーは吹き抜けで、パイプを立体的に組んだ天井からのぞく青い屋根が空をイメージさせる。また、大ホールの楽屋は円すい台形に合わせて配置された化粧台がユニークだ。地下1階から地上2階までをつなぐらせん階段は、天井を切り取ったかのように見え、美しく曲げられた手すりなど随所に坂倉氏の建築美が感じられる。

官公庁街に建つ円すい台形のデザインが特徴的だ

 市は同館を継続して活用するため、9月から来年3月まで大ホールの天井を改修工事する。

天井を切り取ったかのように見える美しいらせん階段

2022年6月5日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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