完成から100年を超える国指定重要文化財でありながら、大阪市中央公会堂(大阪市北区)は今なお、イベントなどに利用されている。
延べ床面積約1万平方㍍の重厚な鉄骨レンガ造り。東京駅などを手掛けた辰野金吾が設計した。内部には、大中小の集会室と特別室、10の会議室を備え、各所に大理石が惜しみなく使われている。
館内ガイドツアーで、参加者が感嘆の声を上げるのが特別室だ。アーチ状の天井には日本神話「天地開闢」の場面が描かれ、壁面にも神話に基づく絵画や鳳凰の刺しゅうがある。東面からは、大阪市章などをあしらったステンドグラスが、外光を優しく室内に取り込む。
当時(大正初期)の建築総額112万円のうち、100万円を1人の大阪商人の寄付で賄った。同公会堂によると、時代背景も考慮して現在の金額に換算すると50億~100億円という。1999年から2002年に行われた保存再生工事でも、約7億円の寄付が集まった。
市民が支える公共建築なのだ。
2022年5月29日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載