博物館の2階ホールから大階段を飾る日本画の大作「明暗」を眺める

 1923(大正12)年に起きた関東大震災の2年後、早稲田大学2号館(旧図書館)=東京都新宿区=は完成した。強度に優れた鉄筋コンクリート造りの設計者には、耐震構造の父と呼ばれる内藤多仲や今井兼次、桐山均一が名を連ねた。

 91(平成3)年まで大学図書館として使用され、現在は、會津(あいづ)八一記念博物館と高田早苗記念研究図書館として再生された。

白亜の円柱、格天井の空間構成が目を引く1階ホール

 1階ホールは暗緑褐色の格(ごう)天井、白亜の漆喰(しっくい)の円柱などの空間構成が印象的だ。ホールから2階への大階段の途中には、横山大観、下村観山による日本画の大作「明暗」(限定公開)が飾られている。直径4・5メートル、継ぎ目のない手すき和紙に、日輪が雲間より昇りゆく情景が描かれている。2階ホールの手すり下にも特徴的な意匠が施されている。

曲線を描く2階の旧閲覧室の天井

 2階の旧閲覧室(現博物館の常設・企画大展示室)は、かまぼこ形のアーチが特徴的なボールト天井が緩やかな曲線を描く。保存改修工事をした大成建設によると天井高は約10メートル。広がりを持った空間は心にゆとりをもたらした。

2022年3月20日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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