一面のステンドグラスから光が入り込む聖堂。左手の祭壇に向かって天井が高くなっている

 沖縄県与那原町の高台にある聖クララ教会(カトリック与那原教会)は1958年、米国から訪れたフェリックス・レイ神父の主導で建てられた。太平洋戦争末期の地上戦で荒廃した沖縄が復興途上だった時期と重なる。設計は米国の大手建築設計事務所と、日系人建築家の片岡献が手掛けたとされる。米軍から無償提供された資材も多く、今も手すりには当時米国で使用されていた角形の異形鉄筋が使われている。

高台にある聖堂からは、街並みが一望できる

 聖堂は北側に一面のステンドグラスが、南側に通路と中庭が配置され、非対称性が印象的だ。シスターの中村睦子さん(83)は「さりげない変化に富んでいて、何年過ごしていても飽きない」と語る。屋根は祭壇に向かって斜めに高くなっており、後方からでも祭壇が近く感じられる。また、壁や通路は透かしで柄を表現した花ブロックで造られ、沖縄らしさも取り入れている。

 デザイン性や歴史的価値が注目され一時期は多くの観光客が訪れたが、「祈る人のための場でありたい」とシスターたちにより静ひつさが保たれている。

「バタフライ屋根」と呼ばれるV字形の屋根も特徴の一つ

2022年1月30日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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