アーチ形の屋根や床の模様が祭壇から広がるようにデザインされている大聖堂

 閑静な住宅地の丘の上に、目に留まるデザインの鐘楼がそびえる。神言(しんげん)神学院(名古屋市昭和区)は、キリスト教カトリック神言修道会の司祭や修道者などを養成する施設だ。チェコ出身の建築家、アントニン・レーモンドの設計で1966(昭和41)年に完成した。

地下聖堂の天井にひし形模様に組まれた梁

 中庭に建つ貝殻のような丸みを帯びた聖堂を中心に、直線的なデザインの住居棟や事務棟が囲む。リチャード・ジップル院長は「昔ながらの修道院の設計だが、聖堂が敷地の正面になく、中庭にあるのは珍しい」と言う。聖堂は大聖堂と地下聖堂がある。開放的な吹き抜けの大聖堂は、壁に色ガラスの入った窓がランダムに配置され、カラフルな光が床や天井に拡散されて神秘的な空間を演出する。地下聖堂の天井には梁(はり)がひし形模様に組まれている。

 建物内外の壁や柱はコンクリート打ち放しで、杉板型枠の木目が美しく刻まれる。2012(平成24)年の大規模改修では木目を生かすように補修され、現在もコンクリートに軟らかな造形美を残している。

丸みを帯びた鐘楼がそびえる独特なデザインの聖堂

2021年12月12日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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