重厚な天井と窓に並ぶランプが目をひく駅中央コンコース内

 JR小樽駅(北海道小樽市)は、北海道有数の観光地・小樽の玄関口として親しまれている。駅中央コンコースに入ると、窓の前につるされたガラス製のランプと、重厚な天井のデザインが目に飛び込み、差し込む光を受けた陰影が美しかった。

 駅は1903(明治36)年に「小樽中央駅」として開駅した。現在の駅舎は34(昭和9)年に完成した3代目。道内初の鉄骨鉄筋コンクリート造りの駅舎で、この構法による昭和初期の現役駅舎としては全国的に希少な存在だ。

丘の中腹にある小樽駅を海側から望む。駅舎の上に家々があるように見える

 外観は左右対称で、東京・上野駅をモデルに造られた。小樽は坂の街で、丘にある駅も地形を生かし、1階改札口から階段で上がった先も地上ホームで、駅舎2階相当の高さにある。

 駅構内にあるランプは、地元で手作りガラスを製造販売する「北一硝子(ガラス)」が、87年に当時の駅長からの「駅の特色を出したい」という要望に応えて寄贈。12年後にも追加し計333個が贈られた。構内に残る歴史の面影を、ランプがさらにノスタルジックな雰囲気に演出している。

ホームから窓越しに海を望む

2021年11月7日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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