低層部の外壁は旧ビルのレンガを再利用しているダイビル本館

 堂島川沿いの中之島に建つダイビル本館(大阪市北区)は、ネオロマネスク様式の旧本館の外観を生かし復元、保存したことで注目された。旧本館は、関西を代表する建築家の渡辺節が設計。1925(大正14)年、鉄筋コンクリート造りの8階建てで、大阪商船(現商船三井)の本社ビルとして完成した。

1階エントランスホールから、2階を見上げる。旧ビルの天井レリーフも再現され、手すりなども再利用されている

 2013(平成25)年に、地上22階、地下2階、高さ108㍍のビルに建て替えられた。低層部の外壁はスクラッチレンガ、高層部はガラス張りというデザインが目に留まる。名建築の面影を伝え残すため、低層部の外壁には旧本館の解体時に手作業で取り外した約15万個のレンガを使用している。内装は、エントランスホールの床タイル、2階の吹き抜けの手すりも再利用。豪華な装飾が施され、石こうでできていた天井は型取りして再現した。

旧ビルから取り外され、建て替え前と同じ正面玄関に飾られた石の彫刻

 旧本館正面の玄関上のアーチに飾られていた「鷲(わし)と少女の像」や、ギリシャ風彫刻の石柱や石材レリーフも修復し移設。建設当初の雰囲気を今に伝えている。

2021年9月12日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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