大阪府立中之島図書館(大阪市北区) ドームの頂部の円形窓からステンドグラス越しに光が透過する中央ホール

 大阪府立中之島図書館(大阪市北区)は、中之島地区のシンボルとして親しまれている。1904(明治37)年、住友家第15代当主・住友吉左衛門友純(ともいと)の寄付で建設された。本館の設計は住友家の建築技師長、野口孫市(1869~1915年)である。

外観はギリシャ神殿を思わせる造りとなっている

 ギリシャ神殿を思わせる外観は風格があり、コリント式円柱はアカンサスの葉をモチーフにした柱頭の装飾が特徴。地上3階建ての内部空間はドーム屋根を見上げる吹き抜けになっており、優雅なカーブを描く大階段が配置されている。中央ホール壁面の左右には長崎の「平和祈念像」で知られる北村西望作による銅製の青年像が2体並ぶ。「野神像」は野性を表し、「文神像」は知性を表現しているとされる。

中央ホールには北村西望作の「野神像」と「文神像」が設置され、この文神像は知性を表現しているとされる

 戦災を耐え抜いた本館と両翼の増設部分は74(昭和49)年に国の重要文化財に指定された。大阪の「知」の象徴として、人と人を結ぶ情報の懸け橋であり続けている。

2020年9月20日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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