ユニークなデザインが目を引く外観
ユニークなデザインが目を引く外観

 世界遺産の金閣寺や竜安寺からほど近く、衣笠山のふもとに建つ白亜の建物が、青空に映えていた。大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、堂本印象(1891~1975年)が、自作を展示する美術館として外観から内装まで全て自らデザインし、66(昭和41)年、堂本美術館(京都市北区)を開館した。堂本の死後、91年に所蔵作品とともに京都府に寄贈され、92年に京都府立堂本印象美術館となった。

ロビーを飾るステンドグラスには、ガラスの廃材などを使う工夫がみられる
ロビーを飾るステンドグラスには、ガラスの廃材などを使う工夫がみられる

 西陣織の図案描きをしながら日本画家を志した堂本は、帝展で特選や帝国美術院賞を受賞するなど次第に日本画家として成功し、東福寺の天井画なども手掛けた。52年に初めて欧州を訪れると、画風が抽象表現へがらりと変わる。自宅隣のアトリエがあった場所に設立したこの美術館は、鉄筋コンクリート造り3階建てで、高床式となっている。

建物の入り口にある柱
建物の入り口にある柱

 外壁や玄関ポーチの柱、内壁や扉、階段の欄干など、あらゆる装飾に堂本が追求した独自の美が見られる、唯一無二の建築だ。

2024年1月21日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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