白い壁にブルーの窓枠が映えるレンガ造り2階建ての外観

 北海道函館市の伝統的建造物群保存地区である基坂(もといざか)の高台に「函館市旧イギリス領事館」が建つ。瓦屋根と白いしっくい壁にブルーの木枠が映える和洋折衷の建物は、1913(大正2)年に英国政府工務省上海工事局の設計によって完成した。

函館港を望む2階にある「領事執務室」。中央左は領事の立像

 同領事館の歴史は函館が国際貿易港として開港した江戸時代の1859年にさかのぼる。当時は寺の中に開設され、4年後に領事館を新築したが、数度の火災で現在の場所に再建された。07(明治40)年に再び大火に見舞われ焼失。現在の建物は34(昭和9)年までの21年間、領事館として使用された。

木製の装飾手すりが連なる階段

 建物は30年以上、病院の施設として使われていたが、92(平成4)年に市制施行70周年を記念して復元。「開港記念館」として歴史を伝える展示室や、開港当時の「箱館」を表した世界地図が床一面に広がる開港記念ホールなどが設置された。中でも自家製のスコーンなどを楽しめるティールームは好評で、座席横の窓から庭園を眺めて、ゆったりとした時間を過ごす観光客は多い。

展示されている領事館時代の門のエンブレム

2023年7月30日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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