接合部には無数のリベットが並ぶ=いずれも東京都台東区で

 東京の下町を通って海へと注ぐ隅田川には関東大震災で被害を受け、震災復興橋梁(きょうりょう)として整備されたモダンな橋が幾つも架かる。その一つが台東区と墨田区を結ぶ厩(うまや)橋だ。太い鋼材に無数のリベットが浮かぶ武骨さと、3連アーチの波打つような曲線の柔らかさが共存する。

橋の下部に規則正しく並んだリベット

 江戸時代、幕府の荷役馬の馬屋があったことから「厩」の名が付いた。この地に初めて橋が架けられたのは1874(明治7)年。その後、木製だった橋は鉄製のトラス橋に変わったが、震災で焼損したため1929(昭和4)年に現在の橋が架けられた。

ライトアップされ浮かび上がる鋼鉄製の3連のアーチ

 長さ151.4㍍、幅24.5㍍の下路式アーチ橋は、東京市土木局(当時)が設計した。隅田川著名橋整備事業で厩橋も87~89年にかけて補強や補修、装飾が施された。その際、アーチと一体となった親柱上部の明かり部には馬をあしらったステンドグラスがはめられた。

親柱の上部に浮かび上がるステンドグラス

 日没15分後から午後11時まで、上流部の駒形橋、下流部の蔵前橋と共にライトアップされ、川面を照らす。

2023年7月9日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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