美しいアーチを描く立体トラス構造の大屋根

 潮風に乗って船の汽笛が聞こえる名古屋港ガーデンふ頭(名古屋市港区)に、銀色の屋根が目を引くアーチ形の建物がある。無料休憩施設として1986(昭和61)年4月に開館したポートハウスは、海上を羽ばたくカモメをイメージして建てられた。

名古屋港の眺望が広がるガラス張りの1階ホール

 カモメの羽を表現する大屋根は立体トラス構造で、南北方向に二つのアーチを優雅に描く。南側のアーチの下にガラス張りの休憩所があり、周囲に広がる緑や、博物館として係留保存される南極観測船ふじを間近に眺めることができる。ガラス張りの壁面は天井に向かって外側へ緩やかに傾き、高さ約14㍍のすり鉢状の吹き抜けが開放的な空間を演出している。団体客が利用可能な2階ホールもガラス張りで眺望が良く、天井には三角のユニークな天窓が装飾されている。

羽を広げたカモメをイメージして建てられた名古屋港ガーデンふ頭の「ポートハウス」

 現在、ポートハウスでは「しおかぜコンサート」をうたい、無償での開催を条件に休憩所のホールを無料で貸し出しており、市民の文化活動を応援している。

台形の出窓などユニークなデザインで来館者を迎える外階段

2023年4月16日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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