均整の取れた木骨トラスが美しい成瀬記念講堂

 近代的な建物が配置されたキャンパス内で、典雅な雰囲気をまとった建物に出合った。日本女子大学成瀬記念講堂(東京都文京区)は、1906(明治39)年に豊明図書館兼講堂として開館した。当時はレンガ壁だったが、23(大正12)年の関東大震災で大きな被害を受けたため、レンガなどを取り除き、木造に変更された。

講堂内を見上げる。天窓から柔らかい光が入る

 講堂の内部は、梁(はり)を三角形に組むことで屋根の重さを分散させる木骨(もっこつ)のトラス構造になっている。等間隔に連なる木骨の姿は、力強さの中に規則的な美しさを感じさせる。また、演壇の両脇に設けられたステンドグラスが静寂さの中に彩りを添える。

木造の建物に彩りを添えるステンドグラス

 61(昭和36)年に創立60周年記念事業として構造補強を伴う改修工事が行われた。この際、同校創立者、成瀬仁蔵の名を冠した現在の名称に変更した。明治時代の木造講堂建築として貴重な遺構であることから、74(昭和49)年に、同区の指定有形文化財になった。

 見学は現在、外観のみだが、新型コロナウイルスの感染状況を見て、内部見学の再開も検討するという。

西洋の教会堂を思わせる建物

2023年3月19日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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