木のぬくもりを感じさせるボールト天井が印象的な聖堂
木のぬくもりを感じさせるボールト天井が印象的な聖堂

 飲食店や古着屋などが建ち並ぶ、にぎやかな下北沢駅かいわいを抜けると、カトリック世田谷教会(東京都世田谷区)に着いた。閑静な教会は戦後の混乱が続く1948(昭和23)年に献堂した。

聖堂、祭壇脇の色ガラス
聖堂、祭壇脇の色ガラス

 聖堂は、フランスから送られていた資材を用い、神父や信者らが建設に尽力し、完成した。

 中に入ると、かまぼこ形のボールト天井が柔らかな弧を描く。教会敷地内には、戦後に米軍から放出された「かまぼこ兵舎」も建つ。同教会の関根英雄(ふさお)神父(83)は、聖堂ができるまでの祈りの場として使われていたと説明する。今は文化芸術活動を支援する場として、市民らのチャリティーコンサートなどに利用されている。

訪れる人をやさしく迎える「ルルドの洞窟」
訪れる人をやさしく迎える「ルルドの洞窟」

 聖母マリアがフランスの「ルルド」と呼ばれる山村の洞窟に現れた奇跡にちなみ、敷地北側には洞窟が再現されている。コンクリートの廃材などを譲り受けて作られた。洞窟を訪れると、若者の姿があった。「教会は静かにたたずんで安らぎを覚える場です」。関根神父はそう話した。

チャリティーコンサートなどが行われている「かまぼこ兵舎」
チャリティーコンサートなどが行われている「かまぼこ兵舎」

2023年6月4日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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