白い壁が印象的な藤本壮介による「とわふる」

 今秋、青森県十和田市に十和田市地域交流センター「とわふる」がオープンした。コンペで選ばれ、設計を担当したのは、大阪・関西万博会場デザインプロデューサーをつとめる建築家の藤本壮介である。

 かつて銀行があった交差点に建てられ、高さ12・5㍍の白い壁が連続する外が印象的だ。そして向かって右側には、小さい三角屋根が続く。壁の背後には大きな中庭があり、振り向くと、壁の上部や下部にあけられた四角い開口が、外の風景を効果的に切り取る。すなわち、都市に挿入された継ぎ目のない抽象的な白い壁によって、市街地の見え方を大きく変える。藤本による大分県の「House N」(2008年)でも、塀を拡張し、建物を包み込む、穴があいた白い壁にしていたが、これを拡大したかのようだ。

 とわふるの中庭の奥には、L字形平面のロビーに沿って、さまざまな市民の活動を行う大中小のギャラリー、事務室、カフェ・キッチン、多目的室などの部屋を並べる。斜めに天井が上り、高所から光を導くロビーは、やはり彼の手がけた宮城県石巻市の「マルホンまきあーとテラス」(21年)を想起させるだろう。

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大ギャラリーでは彫刻家、名和晃平の展覧会が行われていた

 とわふるでは、十和田市現代美術館の「名和晃平 生成する表皮」展と連携し、大ギャラリーを別会場としていた。もともと西沢立衛が設計した同美術館(08年)が、多様な白い箱をちりばめたようなデザインであり、これを受けて、近くのとわふるは街に飛びだしたホワイトキューブがイメージされたという。話題になった現代建築が、次の作品にバトンタッチされたのである。

 が、考えてみると、これだけではない。十和田市では美術館の完成後、展示のための白い箱をひとつ増築した。また、道路の向かいにアート広場、周辺にユニークなストリートファニチャー、アーティストの目[mé]によるホワイトキューブを突っ込んだ空き家「space」などが整備された。さらに徒歩圏内に安藤忠雄の市民図書館(15年)、隈研吾による市民交流プラザ(14年)が登場している。

 つまり、人口6万人の地方都市だが、世界的に活躍する4人の建築作品がそろい、アートが街に点在するようになった。ひとつの美術館が起爆剤となって街が変容している。

2022年11月16日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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