ハニワや土偶ブームはなぜ起こったか、どのように描かれてきたか。その背景に迫る「ハニワと土偶の近代」展(毎日新聞社など主催)の開催概要が30日、会場の東京国立近代美術館(東京都千代田区)で発表された。会期は10月1日~12月22日。担当する花井久穂・主任研究員は「(ハニワや土偶が)芸術として語られるようになったのは近代以降。美術品を鑑賞しながら、ブームの裏側を読み解く展覧会」だと話した。

 最初に光が当たったのは、戦前に神話や「日本人の心」と結びついたハニワ。戦意高揚の象徴的存在になったにもかかわらず、戦後、再びブームに。モダンアートの文脈で前衛芸術家が描き、一方「新たな日本の美」として縄文時代の土器や土偶がもてはやされるようになった。以降、大衆にも浸透し、特撮や漫画にも登場するほどだったという。

 展覧会では、1950年代にハニワや土偶を木版画で描いて人気となった斎藤清の「土偶(B)」をはじめ、ハニワに魅せられたイサム・ノグチや縄文土器を「再発見」した岡本太郎らの作品を紹介。美術だけでなく、工芸や建築、写真などに視野を広げながら、出土遺物がいかにモチーフとされたのか、明治から現代までたどっていく。共同担当する成相肇・主任研究員は「ときどきの国家観、歴史観が、出土遺物を扱うときに必ず関わっている。それを自覚して見ると面白い」と話した。

「ハニワと土偶の近代」展に出品される斎藤清「土偶(B)」(1958年、やないづ町立斎藤清美術館所蔵)©Hisako Watanabe

2024年5月31日 毎日新聞・東京朝刊 掲載

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