中央に1世紀の彫刻作品「恥じらいのヴィーナス」が置かれるテルマエ展の会場風景=大分県立美術館提供

 ◇歴史と芸術たどる

 この冬から春にかけてローマに関する二つの展覧会が、大分県立美術館(大分市寿町)と福岡市美術館(同市中央区大濠公園)で開催、予定されている。古代ローマ時代からの歴史を伝える彫刻や絵画が集い、両館の学芸員は「このまたとない機会に両展を巡り、都市ローマへの理解を深めて楽しんで」と呼びかけている。

 ◇大分市開催中 「テルマエ展」で入浴文化紹介

 大分県立美術館では古代ローマと日本の入浴文化を紹介する「テルマエ展」を2024年1月21日まで開催している。

 テルマエは古代ローマの公共浴場で、大理石の彫刻が飾られるなど人々が美術品を間近で見られる場でもあった。同時代のビーナス像、ライオンの頭部の形の吐水口(とすいこう)などに加え、サウナに似た「熱浴室」の再現も。

 ヤマザキマリさんの人気漫画「テルマエ・ロマエ」の主人公のパネルが案内し、鉄輪(かんなわ)温泉(別府市)の開祖とされる一遍(いっぺん)上人(しょうにん)の座像や湯屋の模型とともに日本の温泉、銭湯の歴史も紹介している。

 学芸員の吉田浩太郎さん(52)は「入浴という身近な視点から古代ローマの人々の暮らしや文化を知り、日本とのつながりや違いを見つけてみて」と話す。

 ◇カピトリーノ美術館所蔵品

 福岡市美術館では24年1月5日~3月10日(月曜休館、月曜が祝日の場合は翌日休館)、「永遠の都ローマ展」がある。世界最古の美術館とされるローマのカピトリーノ美術館の所蔵品を中心に約70点で古代ローマ建国からの歴史と芸術をたどる。

 バロック期を代表する画家、カラヴァッジョの作品「洗礼者聖ヨハネ」は日本初公開。渡抜由季学芸員は「両展に歴史ある名品がそろう。発掘、戦乱などによる破損、修復といった作品自体が刻み続ける物語も合わせて感じてもらえたら」と語った。

 テルマエ展の観覧料は一般当日1400円。ローマ展は前売一般1600円、当日1800円。

2023年12月26日 毎日新聞・福岡版 掲載

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