岸田劉生「麗子微笑」(1921年) 重要文化財 東京国立博物館蔵 Image:TNM Image Archives=展示は4月4日から

 劉生は愛娘の麗子を数多く描いたが、おかっぱ頭と毛糸の肩掛け、そして謎めいた微笑が印象的な本作は最もよく知られた1点だろう。このとき麗子は満7歳だった。

 彼は麗子を描くことで、「形に即した美以上のものその物の持つ精神の美、全体から来る無形の美、顔や眼にやどる心の美、一口に云(い)えば深さ」を会得したといい、それをレオナルド・ダ・ヴィンチに教えられたと述べている。同時代の画家たちの多くが、西洋から紹介される新しい動向を追っていたのに対して、それに背を向けるかのように自らの道を突き詰めた劉生。その「深さ」の独自性が多くの人に認められ、1971年に重要文化財の指定に至った。

INFORMATION

東京国立近代美術館70周年記念展

<会期>5月14日(日)まで。会期中展示替えあり
<会場>東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)
展覧会公式サイト(https://jubun2023.jp/

2023年3月27日 毎日新聞・東京版 掲載

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