国宝「太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)」平安時代・10~12世紀、東京国立博物館蔵(渡邊誠一郎氏寄贈)<通期展示>

 宗近は、京・三条で作刀したと伝わることから三条小鍛冶といわれ、日本刀が成立した平安時代後期の名工として知られる。本作は宗近の代表作で、「三日月」の名は刃文(はもん)に三日月形のものがみられることに由来する。すらりとした刀身は優美な曲線を描き、柄に差し込む茎(なかご)の裏に「三条」の銘がある。

 刀剣鑑定の権威である本阿弥家が江戸時代にまとめた『享保名物帳』に所載された名物刀剣で、古来より名刀として名高く、天下五剣の一つに数えられる。豊臣秀吉の正室だった高台院が所持し、その遺物として徳川秀忠に贈られ、徳川将軍家に伝来した。

INFORMATION

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

<会期>12月11日(日)まで。会期中展示替えあり。本展は事前予約制(日時指定)
<会場>東京国立博物館平成館(台東区上野公園)
<問い合わせ>050・5541・8600(ハローダイヤル)
<公式サイト>https://tohaku150th.jp/

2022年11月5日 毎日新聞・東京版 掲載

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