国宝「虎丘紹隆あて印可状(流れ圜悟)」(部分)圜悟克勤筆、中国 北宋時代・宣和6(1124)年、東京国立博物館蔵(松平直亮氏寄贈)
<11月15日~12月11日展示>

 中国、宋の皇帝が帰依した名僧、圜悟克勤(えんごこくごん)(1063~1135年)が高弟の虎丘紹隆(くきゅうじょうりゅう)に与えた墨跡。虎丘が悟りを得た証明書の前半部とされ、禅の歴史と精神を説く。16世紀初めごろ、桐筒に入って薩摩の坊津(ぼうのつ)に漂着したとの伝承から「流れ圜悟」とも称される。17世紀初めには伊達政宗の懇望(こんもう)で2幅に分割され、この前半部はのちに大名茶人、松平不昧(ふまい)が愛蔵した。

 伝統的な書法に収まらない破格法外の書で、多様な筆遣いや線質に豊かな表情がうかがえる。禅と書の深奥を示す本作は、筆者の偉大さと相まって、古来墨跡の名品として、禅林や茶の湯の世界で珍重された。

INFORMATION

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

<会期>12月11日(日)まで。会期中展示替えあり。本展は事前予約制(日時指定)
<会場>東京国立博物館平成館(台東区上野公園)
<問い合わせ>050・5541・8600(ハローダイヤル)
<公式サイト>https://tohaku150th.jp/

2022年10月29日 毎日新聞・東京版 掲載

シェアする