手前は白木屋日本橋店の模型。奥の壁面にあるのは百貨店建築をめぐる年表

【百貨店展】
百貨店建築の系譜を網羅
高島屋史料館TOKYO

文:平林由梨(毎日新聞記者)

建築

 時代の活気を伝える百貨店建築。「百貨店展―夢と憧れの建築史」はその系譜を網羅しようと試みる意欲的な企画だ。建築家で編集者の浅子佳英と建築研究者の菊地尊也による監修で東京・日本橋の高島屋史料館TOKYOで開催中。

 壁2面に掲げた年表は菊地の労作。全国十数の百貨店を縦軸に並べ、17世紀から現代までたどった。ファサードの工夫を伝えるのは3体の模型。ガラスを多用した1928年完成の白木屋日本橋店はモダンな印象の一方、33年完成でヴォーリズの代表作、大丸心斎橋店は豪華で重厚な印象だ。現役の松屋浅草店は屋上の様子を楽しく再現した。浅子は「ネットショッピングが普及した今、百貨店建築が行ってきた実験から学び直せることは多い」と語る。2023年2月12日まで。

2022年10月12日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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