齋藤芽生さん

【展覧会】
齋藤芽生個展「夜影記」
東京・六本木

文:高橋咲子(毎日新聞記者)

 懐かしくもあやしげな夜の世界を描いてきた齋藤芽生(さいとうめお)。初めての夜のシリーズを新作を交えて紹介する個展「夜影記」が、東京・六本木のギャラリー・アートアンリミテッド(03・6805・5280)で開催されている。

 団地の踊り場をスナックやバーに見立てた2003年の「踊場酒場」。作家自身が気に入って手元に置いていたという連作のうち半分に、新作の「浄蓮」「漁火」を加えて展示している。緻密に描いた団地の細部や構造と、異世界にいざなうようなほの暗い明かりが魅力だが、齋藤は「例えば暗がりの光も、今ならやすやすと描けてしまう」と、新作はあえて即興性を生かして進めていったという。

 初めての映像作品2点も発表。イメージの源泉をのぞき見るような旅の記録だ。15日まで。火、日、祝日休廊。

2022年10月5日毎日新聞・東京夕刊 掲載

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