国宝「檜図屛風」狩野永徳筆 安土桃山時代・1590(天正18)年(11月1~27日展示)=作品はいずれも東京国立博物館蔵

 東京国立博物館創立150年記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が10月18日から東京・上野の東京国立博物館で始まる。同館が所蔵する国宝89件すべてを公開し、名品や関連資料でその歴史を紹介する。同展は毎日新聞創刊150年企画として開催される。本展の見どころを佐藤寛介・同館列品管理課登録室長が解説する。

 東京国立博物館(東博)は、2022(令和4)年に創立150年を迎えました。1872(明治5)年の湯島聖堂博覧会を機に発足して以来、日本を代表する博物館として、我が国の文化を未来へ伝え、世界とつなぐ役割を果たしてきました。

 本展はこの大きな節目を記念して開催するものです。150年間に積み重ねられた約12万件という膨大な所蔵品の中から、国宝89件すべてを含む名品と、明治から令和にいたる150年の歩みを物語る関連資料を通して、東博の全貌を紹介します。展示は2部構成で、展示作品数は計150件、うち国宝89件、重要文化財27件を予定しています。

国宝「八橋蒔絵螺鈿硯箱」尾形光琳作 江戸時代・18世紀(11月15日~12月11日展示)

 現在、国宝に指定されている美術工芸品は902件あります。東博はその約1割となる89件を所蔵(一つの博物館としては日本最多!)しています。本展の第1部「東京国立博物館の国宝」では、そのすべてを公開します(会期中展示替えあり)。これは東博150年の歴史上はじめての画期的なことで、私たちも見たことがありません。それには理由があります。通常は文化財の保護と活用の両立を図るため展示期間を制限し、1年から数年間のサイクルで分野ごとに数点ずつ公開しています。一度にまとめて公開するためには、数年前から数年後まで見越して展示計画を調整する必要があり、これが一番大変でしたが、各分野の研究員の理解と協力により可能になりました。

国宝「古今和歌集(元永本) 上帖」 平安時代・12世紀 三井高大氏寄贈(通期展示、会期中ページ替えあり)

 国宝89件の内訳は、絵画、書跡、東洋絵画、東洋書跡、法隆寺献納宝物、考古、漆工、刀剣の8分野に及び、その内容も日本美術の教科書のような名品ぞろいです。本展では、それぞれの作品に最適な展示デザインを追求し、理想的な展示空間で最高の鑑賞体験をご提供します。この国宝89件のリストとその展示期間は、本展の展覧会公式サイトで公開しています。約8週間の会期中に大きく3回の展示替えを予定しており、展示期間が2~4週間限定のものもありますので、お目当ての作品をチェックしてご来館ください。

国宝「埴輪 挂甲の武人」群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀(通期展示)

 そして、本展の第2部「東京国立博物館の150年」では、日本の博物館の歴史ともいえる東博の150年を3期に分け、各時代の所蔵作品や関連資料などから、その歩みを紹介します。東博の代表的な名品や初公開となる最新所蔵作品の展示に加え、明治から昭和初期の再現展示によって、当時の人々の驚きや感動を追体験していただきます。

重要文化財「風神雷神図屛風」尾形光琳作 江戸時代・18世紀(10月18日~11月13日展示)

 本展では、「89件の国宝」と「150年の歴史」をキーワードに、誰も見たことがない、メモリアルイヤーにふさわしい展示が実現します。東博に初めてご来館される方にはもちろんのこと、何度もお越しいただいている方々にも、本展が新たな出合いや再発見の場となるよう、魅力的な展示内容で皆様をお待ちしています。

「古今珎物集覧」一曜斎国輝筆 1872(明治5)年(通期展示)

◇来月18日開幕

会期
10月18日(火)~12月11日(日)。月曜休館。開館時間は午前9時半~午後5時。金・土曜は午後8時まで。会期中、一部展示替えあり。


会場
東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園、JR上野駅・公園口徒歩10分)


観覧料
事前予約制(日時指定)
一般2000円、大学生1200円、高校生900円。中学生以下無料。※障がい者とその介護者1人は無料(事前予約不要)
チケットは10月4日(火)午前10時より販売予定。詳細は展覧会公式サイト(https://tohaku150th.jp/)で。


<問い合わせ>
050・5541・8600(ハローダイヤル)

主催 東京国立博物館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
協賛 JR東日本、大伸社、大和ハウス工業、三井住友銀行、横河電機、横河ブリッジホールディングス

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