小石清の写真

 1930~40年代、アマチュア団体を軸に起こった前衛写真の潮流を紹介する「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」展が東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催中だ。

 前衛写真は海外のシュールレアリスムや抽象美術の影響を受け、関西から各地に広がっていった。大阪「浪華写真俱楽部」をはじめ、名古屋、福岡、東京など各地の団体で、詩人、画家も参加し、取り組んだ。活動期間の短さから今まで十分に検証されてこなかったが、近年各地で展覧会が開かれているという。

 動物や貝をクローズアップして自然の造形美を捉えた椎原治や久野久、象やハトをディストーションの技法で表した小石清=写真=など、日常から新たな視点を見いだす、実験的精神に満ちた時代を伝える。8月21日まで。

2022年6月15日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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