ライムント・フォン・シュティルフリート「HAKODADI」明治5(1872)年、鶏卵紙

 日本における初期写真の展開を地域ごとにたどる第2弾「写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて」が東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催されている。5月8日まで。

 幕末にいち早く開港した函館。この地で木津幸吉や田本研造はロシア人と出会い写真技術を学び、絵画に描かれてきたアイヌ民族は、写真の被写体として他者に差し出されるようになる。日本の近代化、北海道開拓の歴史や地理と写真との密接な関わりが展示から分かる。

 函館と言えば、の山と港を入れた風景も既に多数撮影されていた。ライムント・フォン・シュティルフリートの「HAKODADI」(1872年、鶏卵紙、同館蔵)には、景観に人々の営みが写り込み見飽きない。日清戦争後には撮影が禁止された函館山からのパノラマ写真も展示している。

2022年4月27日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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