伝狩野孝信《桐鳳凰図屛風》左隻=林原美術館蔵

 神戸市立博物館(神戸市中央区)は6日、10月15日から開催する特別展「よみがえる川崎美術館―川崎正蔵が守り伝えた美への招待―」(同博物館、毎日新聞社など主催)の概要を発表した。国宝2件、重要文化財5件、重要美術品4件を含む約80件が約100年ぶりに同地に集結する。

 川崎美術館は日本初の私立美術館で、1890年に同市で開館。川崎造船所(現・川崎重工業)創業者の川崎正蔵が収集品を公開した。しかし、川崎没後、1927年の金融恐慌でコレクションは散逸。建物も現存せず、知る人ぞ知る存在となった。

 今展では往時の展示空間を一部再現。「海辺老松図襖(かいへんろうしょうずふすま)」(1787年)など実際に室内を飾った全盛期の円山応挙のふすま絵28面が並ぶ。また、国宝「宮女図」(伝銭舜挙、元時代)のほか、1902年の明治天皇の神戸訪問時に使われた狩野孝信の筆と伝わる「桐鳳凰図屛風(きりほうおうずびょうぶ)」(重要美術品、桃山~江戸時代)=写真は左隻、林原美術館蔵=や孝信の子、探幽の同名作品などが会場を彩る。12月4日まで。

2022年7月7日 毎日新聞・東京朝刊 掲載

シェアする