重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(俵屋宗達下絵 江戸時代・17世紀 京都国立博物館蔵)
重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(俵屋宗達下絵 江戸時代・17世紀 京都国立博物館蔵)

【展覧会】本阿弥光悦の美 東京国立博物館で特別展示

文:桐山正寿(毎日新聞記者)

日本美術

 特別展「本阿弥光悦の大宇宙」が3月10日まで、東京・上野公園の東京国立博物館平成館で開かれている。
 書の分野だけでも、光悦のさまざまな作が並んでいる。重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(俵屋宗達下絵 江戸時代・17世紀 京都国立博物館蔵)▽国宝「舟橋蒔絵硯箱」(江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵)▽「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」(江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵)などに加えて、「富治郎左殿宛」や「ちゃわんや吉左殿宛」など数々の書状、信仰の有り様を示す「立正安国論」や「法華題目抄」、扁額(へんがく)「正中山」(千葉・中山法華経寺)や「本門寺」(東京・池上本門寺)なども出陳されている。

国宝「舟橋蒔絵硯箱」(江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵)
国宝「舟橋蒔絵硯箱」(江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵)


 自在な運筆と流麗な流れ、墨量や線の肥痩(ひそう)を駆使した対比的手法、構成力の妙など、さまざまな魅力にあふれる光悦の書美と向き合える貴重な機会となっている。また、俵屋宗達との共同作業からは小林秀雄が記した「己れを失わずに他人と協力する幸福」(「光悦と宗達」)について考えることができるだろう。

2024年2月29日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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