開放感のある2階の「コロネード」

 壮大な目標を掲げて、町立コミュニティセンター進修館(埼玉県宮代町)は建設された。「世界のどこにもないものを建てよう」。町から依頼された象設計集団が土地柄や特性を調査してイメージを膨らませ、外観や家具などのデザインに反映した。

「光路」と呼ばれる吹き抜けのスロープ空間

 水田や屋敷林が広がる町の光景や、ブドウの産地でもあることを踏まえ「農」をコンセプトに取り入れた。風通しが良く出入りしやすい農家を念頭に置いて13カ所の入り口を設けた。1階の大ホールの天井はブドウ棚を表現している。

講演会や軽スポーツなどに利用される大ホール

 北側2階の「コロネード」と呼ばれる列柱廊は、アーチ状の連続が美しい。「外」と「内」を緩やかにつなぐ半屋外空間に立っていると、西洋の伝統建築を歩いているようだ。

 館内には個性的な家具が多い。背もたれにツボ押しのような突起がある椅子や、ブドウをイメージしたガラスブロックを埋め込んだテーブルなどが、来館者の目を楽しませる。

集会室にもある個性的な家具

 多くの利用者が訪れる進修館は、1980(昭和55)年の開館以来、町のシンボルとして愛されている。

2023年8月6日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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