工藤一彦さん

【美とあそぶ】松村邦洋さん/4 活躍の記憶、色で表現

文:寺田剛(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 小学生の頃、新聞の野球記事を切り抜いてスクラップ帳に貼っていました。山口県田布施町の実家では、毎日と朝日を交互にとっていました。読売は巨人に関係する新聞なので、阪神ファンの父はとりません。

 プロ野球中継はテレビで見ましたが、情報は新聞が頼り。通っていた田布施西小の図書館には毎日新聞の毎日年鑑があったので、例えば1969年に田淵幸一さんが新人王をとった時の記録を読んだりして「勉強」していましたね。

 阪神が最下位となった78年は、田淵さんがトレードで出されてしまったので鮮明に覚えています。子供心にチームの行く末が不安だった時、工藤一彦さんが2軍からはい上がって、チームを支えてくれたのです。工藤さんが活躍する記事を特に詳しく読んでいました。その活躍の記憶から、工藤さんの絵は明るい色を多く使って描きました。

2023年3月20日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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