村山実さん

【美とあそぶ】
松村邦洋さん/1 ナイター流し夢中で描く

文:寺田剛(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 今から26年前になります。雑誌「週刊ベースボール」で阪神タイガースの選手を描く仕事をいただき、2年半以上続けました。父が阪神ファンだったので、僕も根っからのファン。週末になると、東京・中野の自宅でナイター中継を流しながら、夢中で取り組んだことを思い出します。

 阪神の名投手で監督も務めた村山実さんの絵を描いたのは1997年。阪神のユニホームの色でもあり、白と黒が中心です。まだ描き慣れておらず、色をあまり使いこなせていません。もっと赤や青などを入れて表現してもよかったはずです。

 しかし、この絵が雑誌に掲載されて間もなく、村山さんがお亡くなりになりました。それを思うと、この作品には派手な色を使わなくてよかったと思います。OB戦にお邪魔した時、一緒にキャッチボールをさせていただいたのはよい思い出です。

PROFILE:

松村邦洋(まつむら・くにひろ)さん

1967年、山口県生まれ。大学生の頃、アルバイト先のテレビ局で片岡鶴太郎氏に認められて芸能界入りし、ビートたけし氏らのものまねで有名に。野球・歴史の知識が豊富で「ボクの神様~心に残るトラ戦士」など関連著書も多数。

2023年2月27日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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