巴旦杏

【美とあそぶ】緒方かな子/4止 絵は私そのもの

文:福田智沙(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 本格的に絵に取り組んでから20年以上たち、「絵は私そのもの」と思うようになりました。絵を取り上げられたら、私には何も残らない。話すのがあまりうまくないので、自分を表現する手段の一つ。絵に集中できる一瞬一瞬が本当に幸せです。

 この絵のモチーフは巴旦杏(はたんきょう)というスモモの一種で、実のかわいらしさを描きました。植物を描くのは珍しいんです。一枚の絵の中に物語を表現しやすいので、人物や動物を描くことが多い。絵の中にいる人の気持ちを想像するのが楽しくて。自分が飼っていない動物も不思議とかわいく思えます。

 最初に描いた家族の絵は、プロ野球選手時代の主人です。ホームランを放った直後の後ろ姿を絵にし、誕生日のプレゼントにしました。以降、人物画はほぼ家族。最近ようやく長男をモデルにしました。今秋の個展でみなさんにお披露目できそうです。

PROFILE:

緒方かな子(おがた・かなこ)さん

1973年、広島県生まれ。90年に中條かな子の芸名でデビュー。96年にプロ野球・広島の選手だった緒方孝市さんと結婚。現在は広島を中心に芸能活動中。2023年10月に広島市内で個展を開催予定。

2023年01月23日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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