【美とあそぶ】
野性爆弾 くっきー!さん/2
故郷の琵琶湖をイメージ

文:大沢瑞季(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 僕、滋賀県守山市の出身なんです。2019年に、琵琶湖に接する守山市から市制50周年を記念して、「つながる輪」をテーマにした作品の依頼を受けました。僕の絵は、見るとぞわっとすると言われることがあります。だからですかね? 絵を提出してからしばらく、守山市さんから音沙汰がなかったんですよ。きっと会議で「これ、表に出していいのか?」って随分もめたんじゃないですかね。

 真っ白なキャンバスを前にして脳にあるイメージをポンと置く。描く時はいつもそんな感じです。缶バッジになったこの絵は琵琶湖がつなぐ輪のイメージ。目の色が違う2人の顔がぐっと密着しています。故郷に贈るので、爪の一枚まで丁寧に描き込みました。

 指文字の作品は他にもたくさん描いています。指は人間の体で心臓の次に動いてると僕は思っています。だから、もっと大事にしてあげたいという思いがあるのかもしれません。

PROFILE:

くっきー!さん

1976年、滋賀県生まれ。94年、お笑いコンビ「野性爆弾」を結成。2019年、米ニューヨークの世界最大級の美術マーケット「Artexpo New York」に参加し、最も注目する5人に選ばれた。

2022年10月31日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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