【美とあそぶ】
伊藤かずえ/1
墨の香りにひかれて

文:榊真理子(聞き手、毎日新聞記者)

 書道を始めたのは、50代に突入した2016年暮れです。きっかけは、テレビ番組「芸能界特技王決定戦 TEPPEN」(フジテレビ)の書道対決への出場でした。準備のために、現在大学3年生の長女が小中学校時代に通っていた近所の書道教室の門をたたきました。

日如年

 確か、最初は漢字1文字の楷書を練習しました。書道は小学校の頃、2~3年習って以来で、「こんなに難しかったかな、思ったように書けないな」と思いました。でも、墨の香りにひかれ、心も落ち着くし、年を重ねても楽しめそうだ、と。今の自分に合っているお稽古(けいこ)事として、続けたいと思いました。

 この作品は、習い始めて半年ほどたち、東京・六本木の国立新美術館で開かれる公募「万紅展」に出品したものです。必死にお手本をまねました。表装して立派に見え、金賞を頂いてうれしかったです。

PROFILE:

伊藤かずえ(いとう・かずえ)さん

1966年、神奈川県生まれ。79年、映画「花街の母」でデビュー。テレビドラマ「ポニーテールはふり向かない」(TBS系)で主役を演じ、以後、「ナースのお仕事」(フジテレビ系)など多くのドラマ、映画、バラエティーに出演。著書に「伊藤かずえが12キロやせたレシピ」など。

2022年9月12日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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