晴雲秋月

【美とあそぶ】
おさるさん/4止
人生、いつも書があった

文:川名壮志(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 おさるの芸名でデビューして、テレビ番組の企画でモンキッキーに改名して、またおさるに戻して……。何度も芸名が変わるので、自分でもよく分からなくなる時があります。

 でも、雅号の宇都鬼(うっきー)は変わりません。僕のお笑いに駄目だしをしてくれる妻(タレントの山川恵里佳さん)にも、字では負けませんしね。「晴雲秋月」は、純真で汚れがなく透き通っている心のたとえです。そこに、大空へ駆け上がっていく「龍」を描きました。

 今、保育園でも習字を教えているんです。字がきれいだと、将来、得をすることが多いですから。親が反面教師で、僕は子供が楽しんで学べるように心がけています。

 振り返ると芸人一筋で、ここまで続けられたのか。人間、特技が一つしかないと、やっぱり弱いじゃないですか。僕には書があった。幼い頃は、泣きながら書を習ってましたが、今は母に感謝してます。

PROFILE:

おさるさん

1968年、大阪府生まれ。91年、お笑いコンビ「アニマル梯団(ていだん)」でデビュー。芸能活動の傍ら、宇都鬼(うっきー)の雅号で書に親しみ、作品をインスタグラムでも公開。スポーツ万能で2児の父。

2022年7月4日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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